こんにちは。CTOの松本です。ここしばらくケトジェニックな減量に取り組んでいます。好きな食べ物は鯖水煮缶です。
今回は、先日発表されたsuguruさん入社について、長期で成長し続けることを目指した今後の組織の形の考え方、特に縦と横の意識についてお話させてください。
内容についてはsuguruさん、mosaさんとのPodcastでもお話しておりますのでもしよければこちらもどうぞ。
縦と横の意識
開発組織に関わらず、様々な会社で「個々の専門領域・事業領域・プロダクト領域に閉じるチーム」と「横断的なチーム」という2軸の整理を議論することがあるかと思います。開発組織で言えば、例えば一つのプロダクトやシステムを管轄するチームと、インフラ等横軸で全体をサポートするチームがありえます。
また、直近ではこれを更に細分化し、ストリームアラインドチーム、イネーブリングチーム、プラットフォームチーム、コンプリケイテッド・サブシステムチームの4分類に分けるTeam Topologies的な考え方の登場などもあり、この組織設計がホットトピックな印象を持っています。
Team Topologiesについては書籍や監訳者のRyuzeeさんのブログを参照いただけるとより言いたいところが理解いただけるかもしれません。
特に今回着目するのはイネーブルメントチームとプラットフォームチームという横断的な支援組織のあり方となります。また、プロダクト開発のみに閉じるのではなく、より広く、会社としてどういったアーキテクチャがあるべきかが重要と考えています。
この前提のもと、組織構造についてTeam Topologiesやその他様々な組織のあり方を下敷きにしつつLayerX流にどのように考えていくか、今回のsuguruさんの入社に合わせて議論してきました。
個々の領域に閉じたチームを縦、横断的なチームを横とした時、この2つのタイプそれぞれに求められる責務・能力は大きく異なります。
不確実性を最短で突破する縦の開発
縦、つまり個別の事業やプロダクトなどの部門では手数の多さ、スピードを重視した取り組みをこれまで進めてきました。「爆速開発」を謳う通り、とにかくリリースまでのスピードを高め、スピードによって品質を高めるというような考え方で開発を進めています。
縦で求められるパワーは、最速で不確実性を最小化するための、不確実な環境での意思決定力と考えています。事業がスケールするための解を発見するための不確実性最小化エンジンが縦のチームといえます。
こうした縦のメンバーが爆速を維持するには、意思決定の高速化と自律・独立した開発のためのコミュニケーションの最小化が必要です。強い個性・スキルを持った個人がそれぞれ自分の意思の元で進み続けることで爆速開発が成立していると感じます。
事業CPO・CTOであるmosaの強さはここにあり、直近の自分の取り組みの多くはmosa始めとした強い個人が悩み無く目の前の不確実性高い課題に取り組む環境づくりでした。
強い個人が自律的にコラボレーションしていくには、自律的に走っても大枠の方向性がずれないような戦略・優先度の整理、開発以外の領域の仕組み化やマネジメントコストの低減などが求められます。個々の開発力を最大化するための最善のバックアップ、得意に集中する環境を作ることが結果としてスピードと品質を高い次元で成立させる土壌となります。
全体を高める横の開発、xOps
それに対して横、つまり全体を下支えする取り組みも組織がスケールし、一人ひとりのパフォーマンスをより高めるために欠かすことができません。具体的な取り組みでいうと、開発者体験を高め開発のスループットを高めるDevOpsや全社で利用する社内ツールやセキュリティなど含めた効率化で生産性を下支えするCorporate Ops、営業生産性を仕組みで高めるSalesOpsなどがあります。
例として、すでにLayerXや三井物産デジタルアセットマネジメントでは様々な取り組みが実施されています。例えば社員の急増やトライアル入社など柔軟な入退社を支えるために、AWS StepFunctionなどを活用しながらアカウントのセットアップを自動化する取り組みがCorpOps領域で行われています。また、アセットマネジメント業界の物件運用効率化に向けて業務効率化ツールを開発するなど、Opsの改善には皆さんが想像される以上に初期の段階から取り組んできました。
これらxOpsの取り組みは企業内の全ての領域に存在します。日々の業務改善から得られた知見を、誰もが使える形へソフトウェアを通じて提供し続ける仕組みがあることが組織や事業の拡大でも安定したパフォーマンスを提供していくことに取って重要です。
ソフトウェアは関わる人々へ同じ水準のアウトプットを、ミス無く提供しますが、様々な業務プロセスに対してxOpsとして取り組むことは業務上のミスを無くすよいガードレールともなります。よいガードレールは、失敗しうる施策への挑戦を促します。一定のガードを用意することで、何か新しいことに挑戦する場合も安心して取り組むことができるようになります。
例えばわかりやすい事例がCanary ReleaseやFeature Toggleでしょう。サービスリリースにあたって、機能の公開・非公開を簡易制御できることは、もしマイナスな機能を提供した場合にも即座に切り戻しができ、失敗に対する安心・安全を提供します。
失敗できるということは新しい知見の発見を促す重要な要素です。常に成功確度高いものだけしか取り組めないという組織は、段々と局所解に陥り、成長速度の低下にもつながっていきます。LayerXではBe Animalという行動指針がありますが、積極的に挑戦し新たな道を見つける行動を、同じく行動指針の一つであるBet Technology、つまり技術で支えるのがxOpsであり、横の開発組織です。
xOps的な資産は積み上げ型の資産であり、一度構築されればその組織全体のオペレーショナル・エクセレンスが向上し、また安全性を高め安心して失敗しやすい組織を作り上げます。私が経営上最も重視するAgilityも、この取り組みの先にあるものと思います。
結果として、一人ひとりがよい方法論を学び、活用し、そして様々な挑戦ができ、より人が成長する組織となると私は考えています。人が育つ組織こそ長期間成長する組織、そのために技術を駆使して支えていく、そのための横の活動がLayerXの未来に対する重要な投資になる、そう信じています。今後suguruさんと共に、こうした横軸での生産性向上を取り組み、よりスケールする、より人が育つLayerXを作っていきたい次第です。
最後に
LayerXはまだまだ小さなスタートアップですが、今の時点から「縦で不確実性を最速で突破」し「横で全体のオペレーショナル・エクセレンスを高める」ことの双方に投資をし続けることが、長期間より多くの経済活動をデジタル化することにつながることと考えています。
またその中で多くの人を育てることが重要です。よい経営人材、専門人材が育つことは、一つの事業を作る以上に大きなインパクトを広くもたらしうるものだと考えています。このための横の取り組みへの投資を惜しまずやっていきたい次第です。
DevOpsやCorpOpsなど様々な領域で現在採用を進めており、LayerXの今後に興味がある方ぜひカジュアルにご応募いただけますと幸いです。
また、今後人を育てる、という意味では新卒採用も強化していきます。まだまだ学生の皆さんには認知の無い会社ですが、より人を育てる、というところで興味がある方ぜひお話しましょう。
こうした取り組みについて話を聞きたいという方、ぜひmeetyでもお待ちしております。