LayerX エンジニアブログ

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Be Animalに金融サービスを1年で作る ~僕たちのサービス立ち上げ1年戦争~ #ベッテク月間

こんにちは!Fintech事業部でVPoEをしています @takochuu です。
仕事の傍ら、インターネットウォッチをして保護猫を3匹育てています。(保護猫はいいぞ)
先日社内でインタビューしてもらったのでよろしければ読んでみてください。

note.layerx.co.jp

今回は、Fintech事業部が開発・運営するデジタル証券を活用した資産運用サービスALTERNA(オルタナ)の立ち上げを総まとめしたいと思います。

alterna-z.com

LayerX Fintech事業部は三井物産デジタル・アセットマネジメント(以下MDM)に出向し「Operation DX」と呼ばれるアナログ業務のデジタル化を行うことと、個人向け資産運用サービス「ALTERNA(オルタナ)」の2つの開発チームが存在しています。その中で今回は個人向け資産運用サービス「ALTERNA(オルタナ)」の立ち上げについて紹介させていただきます。

はじまり

~2022年・春ごろ~
まるおさん(LayerX執行役員・事業責任者)「個人向け投資サービスを立ち上げます!!ドンッ」
開発チーム「うおおおお〜〜〜〜!!!」
まるおさん「とはいえ既存のサービスの運用もあるので、最初はサルバさん(テックリード)・柴さん(元金融SIerエンジニア)・saikoさん(デザイナー)・takochuuさんで行きます」
ぼく「(;゚д゚)(つд⊂)ゴシゴシ(;゚Д゚)…?!< 人、少なくね...」
まるおさん「安心してください、既存の事業にあたっているメンバーも2-3ヶ月後には合流します」
ぼく「あ、あぶね〜〜〜〜!!」

こうしてめでたく(?)人生で何度目かの(多分4度目ぐらい)サービス立ち上げエンジニアとしての日々がはじまりました。
メンバーはそれぞれ一般的な金融知識はそこそこあるものの、MDM(三井物産デジタル・アセットマネジメント)が扱う商品は伝統的な株や債権のようなアセットではなく、不動産を裏付け資産としたアセットです。
伝統的なアセットと比較して、まだまだ新しいといえる商品での立ち上げになるため、当然のように既存で存在しているシステムを組み合わせたら「はい、一丁あがり」とできあがるようなものではないため、一筋縄にはいきません。
ここから「誰に、何を、どのように」届けるのかの苦闘の歴史が幕を開けます。
全史を、ぜひ。

誰に何を作るのか

先に述べたように、現状ALTERNAで販売している商品はオルタナティブアセットと呼ばれるアセットクラスになります。
当時既にMDMで組成した商品を他の証券会社で売っていただくという実績はありましたが、自社で販売することにおいては当社に証券会社として口座を保有してくださっている投資家が一切居ない状態なので、商品をプロダクトに乗せたら既存投資家が買ってくださったことによって完売しました。というシナリオは当初から期待できませんでした。

また、「プロダクトを作りましょう」と言っても「誰に何を作るのか」を明確にして進めなければ、提供するサービスは抽象的になり、誰も欲しがらないものになってしまいます。
チームとして「誰に何を」を明確にするため、約2日掛けてインセプションデッキを実施しました。

インセプションデッキの結果、「分かりやすい」「使いやすい」「透明性が高い」「所有感がある」プロダクトにしようという結論にはなりましたが、コンセプトが決まったからと言って「はー、コンセプトも決まったし良かったね。安心して作れるね。今日はゆっくり寝ましょうね。」という事にはなりません。
そう、それもそのはず当時は使いやすいUI・証券業務(オペレーション)含めて何の解像度も低いという状態でした。

僕らなりの「あたらしくて、おもしろい」金融サービスってなんだろう

コンセプトが決まったからといって、「分かりやすい」「使いやすい」「透明性が高い」「所有感がある」UI・UXとはどういうものかをチームで共通認識を取る必要があります。
上部で紹介させていただいたのエモカレの「あたらしくて、おもしろい」を体現する金融サービスとはどういうものかという部分が上記にあたりますが、各々が考える「安心して」「分かりやすい」「使いやすい」は少しづつ違うため、すり合わせにかなりの時間を使いました。

特にUIを作成する上で大切にしていたことは「不動産がしっかり見え、魅力が伝わること」と「口座開設を5分で申請完了にすること」の2つでした。
「口座開設を5分で申請完了にすること」については下記スクショのように、UserStoryを整理し、3回ほどブラッシュアップのための議論を重ねることで極力入力を減らす工夫をしました。

「不動産がしっかり見え、魅力が伝わること」については、案件一覧案件詳細画面を作り込むことで魅力をしっかり伝えよう!という方針で進めていましたが、UIの決定においては3案から絞り込むことになりました。

こちらの3案が最初期の案件詳細なのですが、この3案を見た時に1個人として「これはすっごい!!!!」と思った事を今でも覚えています。
サービスのUXを大幅に左右する画面の可視化というだけではなく、「実際に見えること」の重要性を改めて認識した瞬間でした。

管理画面...どうする?

個人投資家の皆様に見ていただく部分については、可視化することで難を乗り切ったチームでしたが、ここでまた一つの難題がやってきます。
タイトル通りではあるのですが、サービスの管理画面をどうするかという問題です。
「どうするか」の部分については課題は2つあり「真面目にエンジニアの工数を使ってUIを開発していたら到底スケジュールには間に合わない」ということと「膨大な入力項目をカバーするUIを設計することが非常に困難である」ことの2つでした。

特に後者については以前開発していたサービスではUIをエンジニアドリブンで作成していたのですが、お世辞にも使いやすいとは言えず、かなりのオペレーションコストを支払うことになってしまっていたためチームとして苦手分野だと認識されているのが当時の実情でした。
また、金融サービスという性質上、申請・承認といったシステムガバナンスも求められる領域です。エンジニアの皆さんならわかる部分もあるかと思いますが、権限管理は実装コストとしてもなかなかに高い認識だったため困り果てていました。
とある日、当時TechLeadのサルバさんとこんな会話をしていたのを覚えています。

ぼく「いやー管理画面真面目に工数貼って作ってたらマジで間に合わないし、エンジニアがUI考えたらUX爆発するし、デザインの工数もないしどうしたもんかね。全部自前で作るのは難しいよね。」
サルバさん「そうっすねー、なんかSaaSとかあればいいんですけど。探しますか。」

about.basemachina.com

そうして見つけてきたのがベースマキナという「管理画面を高速で立ち上げられるSaaS」なのですが、こちらはSQLが書け、APIにも接続できるスグレモノということで採用を決定し、今ではベースマキナ上に全ての管理画面の機能が実装されるに至っています。
事実として、管理画面のUIを制約のない状態から実装するコストや、技術のEOLに合わせてアップデートするコストなど含めると大部分のコストを圧縮でき、スケジュールも何とか...!という状況まで挽回できました。

最後のピース

システム面・UX面の課題はなんとか解消できた我々でしたが、最後の問題が残っていました。そうです、カスタマーサポートを仕事でやったことがある人が社内に誰もいないのです。
ALTERNAは個人投資家さまに向けたtoCサービスであるがゆえ、どれぐらいの問い合わせがあるか基本的にはわかりませんし、お金という非常に重要なものを扱うサービスである以上、専任のカスタマーサポートチームがないこと自体がかなりのリスクでチームが立ち上げられない場合リリース延期もあり得るほどのリスクでした。

そこで、社内で「いい人紹介してください!!(泣)」とお願いしたところ、CS業界のとても知見がある方を紹介していただくことになったのですが、その方はタイミングもまだ今ではないとの事をおっしゃられていたので、ここでも「いい人紹介してください!!(泣)」とお願いしたところ、紹介頂いたのが現CSメンバーの古賀さんになります。

とはいえ、候補の方が現れてもチーム内にはCS経験者がいません。ということは、CSメンバーのスキルを面接で測ることが難しいのと同義です。

ぼく「ううむ...すごく良さそうですがどうやってスキルチェックしましょう...」
まるおさん「もはや、自分たちが今後やるべきことをどうやってやっていくのか戦略をつくってもらいましょう。それを見るのがいいと思います。」
ぼく「ソレだ!」

ということで、トライアル入社でいらっしゃったタイミングでお渡しした課題を3者で確認したのですが、「これはまさにライトパーソン!」という内容で、まるおさんと会議室を出た時にガッツポーズをしたのを覚えています。
入社していただいたあとも、オペレーションの構築からCS管理ツールの要件定義まで獅子奮迅の活躍で、また一つ頭の痛い問題を解決することができました。

おわりに

様々な難題を全社を挙げて解決してきたMDMでしたが、「システムが正常に動くか」というのはどんなにテストをしてもエンジニアとしては怖いのではないでしょうか。
そしてついに、ALTERNAが公開される日がやってきました。

幸い、入念に準備をしてきたこともあり大災害は起こらず、正常にリリースできました。

普段はあまり語らない切り口で、あくまで主観的に語らせていただきましたが、Fintech事業部、ひいてはLayerX全体はかなり泥臭くひとつひとつの事業を立ち上げています。
こちらで紹介させていただいたALTERNAはありがたいことに初回の募集案件で販売した14億円から、約1年で2.5倍の36億円を販売できるサービスに順調に成長しています。

ですが、課題は山積です。新しい個人投資家の皆様に買っていただける商品開発を行っていくことや、販売に基づくオペレーションの効率化など、テクノロジーでこれから解決していかなければならないことはまだまだあります。

このように泥臭い我々ですが、この記事を見て少しでも興味を持っていただけるとうれしいです。
積極的にカジュアル面談や採用を行っていますので、少しでも興味があればぜひお申し込みください!
まだ見ぬ皆様とお会いできることを、楽しみにしています。

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【Fintech】ソフトウェアエンジニア / 株式会社LayerX