こんにちは!Fintech事業部でVPoEをしています @takochuu です。
最近車を買ったのでドライブして地方グルメを楽しんでいます。
以前、以下のような記事を書いたのですがここから状況が変わり、0→1から1→10のフェーズへの転換期がFintech事業部にやってきたので、筆を取ってみようと思います。
LayerX Fintech事業部はこれまで三井物産デジタル・アセットマネジメント(以下MDM)に出向し「Operation DX」と呼ばれるアナログ業務のデジタル化を行うことと、個人向け資産運用サービス「ALTERNA(オルタナ)」の開発を行っていました。
各チームが組成された当時ははだいたい30名程度の社員数で安定した事業基盤を構築することが最大の目標でしたが、幸いなことに達成され、事業がスケールするフェーズになっており、解くべき課題もチーム設立当初とは異なってきていました。
そのため、事業の拡大とAIツールの隆盛もあり、2025年4月から「ALTERNAチーム」と「AI Productチーム」に組織変更を行いました。
今回は、組織変更の背景と0→1を終えて1→10に向かうにあたって新しく取り組んでいる内容について紹介していきたいと思います。
組織変更!
謎のゴリラ「これからはAI!AIウホよ!ウホウホ!」
ぼく「(;・`д・)...ゴクリ...いよいよ...来ちまったか...」
みんな「もっとALTERNAを売るだけではなく回遊してもらえるサービスにしたい!」
ぼく「(;・`д・)...ゴクリ...そうだな...なんとかしないとな...たしかに...」
このような、ALTERNAが「証券を売買する」という目的のみをシンプルに追求している姿になってしまっていること(つまり回遊性が低く、商品がない時にユーザーがやることがない)という課題と、AIツールの進化を背景にそれぞれの課題を集中して取り組めるよう組織変更を行いました。
「ALTERNA」はもちろん証券を売買するためのプラットフォームであるので売買の優先順位が下がる事はありませんが、開発アイテムを見直し証券売買だけではないUXを高める施策や、回遊性を高める施策をロードマップに追加しました。
「Operation DX」チームについては、アセットマネジメント業務の効率化というスコープで2025年4月まで活動してきましたが、AIツールの隆盛もあいまってアセットマネジメント業務だけではなく全社の効率化をAIを用いて行うというチームとして生まれ変わり、名前を「AI Productチーム」に変更しました。
メンバー数もこの6ヶ月で大幅に増員し、6ヶ月以内に新たにエンジニア5名・PdM2名の新メンバーを迎えスケールアップしたチーム体制で1→10の開発に取り組む事になりました。
ミッションの明確化とやらないことの決定
先に述べたようにチームを変更したはいいものの今まで通りの仕事内容では組織変更の意味もないため、新たなミッションを定めることとしました。
「ALTERNAチーム」については「ALTERNAを活用いただくお客様を増やす」ことを当面のミッションとし「AI Productチーム」では「社内の効率化対象を発見し、効率化を行う事でコストダウン・アップサイドを実現する」としました。
また、ミッションを追加・変更するだけではただ仕事が増えるだけなので、大胆に「やらないこと」を決めるようにしました。
もともと「Operation DX」チームで担当していたアセットマネジメント業務の効率化については、ホテル・レジデンス・商業施設といったアセットタイプに応じた開発が必要です。レジデンス中心のアセットマネジメント業務の効率化で一定のを出すところまで開発を行うことができたのですが、今後の物件取得戦略に沿う形で新たなアセットタイプを効率化しきることは現状の戦力では難しいと判断し、積極的な開発投資は止める判断をし、再スタートしました。
開発プロセス・チーム文化の再整備
元々Fintech事業部の開発文化については、「開発速度が速いとは」に代表されるLayerX共通の思想を色濃く受け継いでおり、2年弱で4000個のP-Rがリリースされる価値提供の速度を重視している文化でした。
ですが、とにかく価値提供を優先するために開発ルールの整備を最低限にしており、「それはわかるっしょ」という阿吽の呼吸で開発していた部分が新規メンバーには(経緯を知らないので)わからないという課題として上がり始めました。
特に開発プロセス上の企画・要件定義フェーズを完了して開発フェーズに入る際の条件が不明確であったことや、設計や仕様のレビューが明確なマイルストンとして管理されておらず、各々の認識をたよりに善意でレビュー依頼されるなどが散見されるようになっていました。
このように多数の問題が新メンバーからの質問という形で発見されたため、本腰を入れて開発プロセス全体を再整備を行い、各々のフェーズにおいてフェーズ毎に完了しておくべき条件を明確化しました。
エンジニアリングの部分で言うとテストコードの用意などはテストコードを書く領域についてのルールはありましたが、スケジュールの都合で書くのがスキップされたり、上記のルール以外の部分には書く書かないなどの基準が曖昧な部分がありましたが、新メンバーの皆様のテストを書く基準の高さに影響され、テストが増産されていっています。
また、チームの人数が増えたことにより「コミュニケーションを取りやすいレイアウトに変更しよう」という声が上がりチームのオフィスのレイアウトも従来の島といった形からコミュニケーションを重視するためにレイアウトを変更したり、コミュニケーションが発生するように「おかし神社」を設置するなどコミュニケーション促進の施策も実施しました。
(CPOがお菓子を仕入れています)
Product AIチームが目指すインパクト
ここ3年ぐらい語られていたが、いよいよ無視できなくなってきているのがAIツールの隆盛ではないでしょうか。
毎日のようにプロダクトのアップデートがありますし、AI専門のチームを用意している会社さんも増えてきた印象です。
LayerX Fintech事業部でもAIの活用余地については度々議論されてきましたが、いよいよ2025年4月から全チームの目標として「AIを用いて改善を行う」というものが追加され、「AIおためしラボ」という全社員向けのAIツールを試せる仕組みを作り、本格的に取り組むことにしました。
物件の取得から償還損益の分配まで、様々なオペレーションが存在する中で2025上期でAI Productチームが取り組む領域をまずは「証券組成」「広告審査」に限定してAIで業務改善を行うことにしました。
「証券組成」のプロセス内には「有価証券届出書」「タームシート」といった様々な書類が登場します。
そしてそのさまざまな書類は、IBDと略される「デジタル投資銀行部」の手を通って作成され、利用されます。
ですが、それらのドキュメントを作成する作業はデジタル投資銀行部員の涙ぐましい目視でのレビューと修正が必要で、膨大な時間を掛けて対応していましたが、1つでもミスがあると問題に発展するため、LLMの力を使ってタームシートと主要契約書間の矛盾を検出するシステム(Wordプラグイン)を作成しています。
2025年6月現在では、有価証券届出書のドラフト修正点を発見することができており、「記載ミスが無い、ということを確認できているのでvalueが高い」とデジタル投資銀行部メンバーに評価されるまでになっています。
下期では書面のプラグインツールでのチェックの自動化、書面の自動生成に向けて開発計画を立ててプランニングをしている状態です。
おわりに
このように0 → 1を終え、1 → 10に向けてプロダクトチーム全体の役割やプロセスを見直していた半年間でしたが、これからも新しい商品のプラットフォームへの組み入れや、AIの活用領域の拡大などFintech事業部もイベントが目白押しです。
特に、AIツールを活用したプロセス全般の効率化や、業務効率化を業務として行ってみたいというエンジニアの方を募集しており、積極的にカジュアル面談や採用・イベントを行っていますので、少しでも興味があればぜひお申し込みください!
まだ見ぬ皆様とお会いできることを、楽しみにしています。
【Fintech】ソフトウェアエンジニア_生成AI活用 / 株式会社LayerX
【Fintech】ソフトウェアエンジニア_生成AI活用_業務委託 / 株式会社LayerX