こんにちは。LayerX Ai Workforce事業部のFDE(Forward Deployed Engineer)グループでエンジニアリングマネージャーをしている shirai です。
このブログは、自分のキャリアの中で大部分を占めている、マネージャーとしての経験を元に自分なりのマネジメントの考え方を伝える読み物と思ってください。
どちらかというと未来の自分に対して、当時はこう考えていたんだ、という記録を残す感覚で書いています。
マネージャーかくあるべし、という話ではなく、こういうこと考えている人もいるんだ、ぐらいの気持ちで読んでもらえればと思います。
1.はじめに:マネージャーの仕事
マネージャーの仕事とは何でしょうか?
意見は様々あると思いますが、自分の中でマネージャーの仕事は、「人、組織を育てること」と捉えています。
人、組織という2つの言葉を並列させているのは、人を育てようとする際、その土壌となる組織も併せて育てることが必要と考えているからです。
2.ぼくがかんがえたさいきょうのそしき
では、さいきょうのそしき とはどんなものでしょうか?
それは、積み上げ続けられる組織です。
積み上げるものは、経験知です。経験知を形式知にして、組織に積み上げていきます。
組織の形式知を活用すれば、ミスが減り、成功確率が上がっていくはずです。
『個人が新たに獲得した経験知を、組織の形式知にして、別の個人へ暗黙知として根付かせる』
このループを回していけば、個人の成長が組織の成長へとつながり、組織の成長が別の個人の成長につながっていきます。

一人の経験を組織の経験へと変えていく仕組み、文化ができれば、個人の成長を組織の成長に繋げていけそうです。
また同時に、組織に属する個人が、組織の形式知を積極的に取り込んでいく姿勢(あるいは、それを促す文化)も必要です。
これは、個人が愚直に組織の形式知を学んでいけば成長できる、とも言えます。
3.「二度目」を仕組みで防ぐ、マネージャーの執着
自分の経験上、自らのミスで失敗した時、強烈に記憶に残ります。
このミスからの学びを個人の反省で終わらせず、組織の「形式知」として蓄積していくことこそが、成長への最短距離だと考えています。
ミスからの学びを最大化するために、大切にしているのが「二度目はない」というスタンスです。
……と言うと、「一度のミスも許されない厳しい環境なのか?」と思われるかもしれませんが、意図は正反対です。
誤解を恐れずに言えば、1回目のミスは、新しいことにチャレンジした結果の「素晴らしい学習機会」です。しかし、同じミスを組織内で二度繰り返してしまうとしたら、それは個人の能力の問題ではなく、学びを資産に変えられなかった「組織の仕組みの不備」であると捉えています。
「次は気をつけよう」という精神論で終わらせるのではなく、「二度と同じことを起こさないために、どの仕組みを変えるべきか?」という問いに、執念を持って向き合う。この徹底したこだわりが、強い組織を作る土台になると信じています。
同じミスを違う人が起こしている状態は、組織としての成長が止まっているサインかもしれません。一度目のミスを「学びの宝庫」と捉え、一つの事象から複数の対策(気づきのタイミングや防波堤の設置)を考え抜くことが、強い組織への第一歩です。
4. 抽象化と対策までやり切る、マネージャーの責務
ミスから真に学ぶためには、ミスを引き起こした本質的な原因を特定する必要があります。
ここで活用するのが「なぜを5回繰り返す」という手法です。オーソドックスですが、非常に強力です。重要なのは「誰がミスをしたか」を責めるのではなく、「なぜそのプロセスがミスを許容してしまったのか」を深掘りすることです。
この根本原因を突き止め、具体的な対策を講じるところまで「やり切る」こと。これがマネージャーの最も重要な責務の一つです。言い換えれば、マネージャーは「同じミスを二度と組織内で起こさない仕組み」に対して全責任を負っていると言えます。
個別の事象を「こういうパターンの時は、こう対処する」という一段高いレイヤーで「抽象化(パターン認識)」し、それを誰でも使える武器(形式知)へと変換する。このプロセスこそが、組織の積み上げとなる資産になります。
5.組織の形式知の資産化
原因と対策を形式知化するには、どのような方法が適切でしょうか?
形骸化しがちな障害報告書ですが、その本質的な役割は、まさにこの『形式知化』にあるはずです。
今の時代ならではのAIを駆使した方法、その組織に合った知見の蓄積方法を模索するのが良さそうです。
マネージャーは、過去のミスを形式知化するだけでなく、その対策が形骸化せずに機能し続けているか、常に注意を払う必要があります。
とはいえ、対策を運用に乗せる部分もマネージャーのセンスが問われるところです。運用に耐えうるプロセスになっているか、メンバーに過度に負担をかけることになっていないか、などチェックポイントはいくつもあります。
実際には、対策についても形骸化することがあるので、仕組みを増やすだけでなく、形骸化した古いルールを捨てる(引き算)の判断もマネージャーの仕事です。
一度決めたら終わりではなく、その時の組織に合わせて運用を変えていくこともマネージャーが判断する重要な責務です。
6.さいきょうのそしきへ
ある意味当たり前のことを書いてきましたが、この当たり前のことを愚直にできる組織が、さいきょうのそしき になっていくのではないでしょうか。
7.終わりに
LayerXのエンジニア組織についてもっと知りたい方は、こちらの「エンジニアデック」もぜひご覧ください。
また、お気軽にカジュアル面談にもお声がけいただければと思います!