執行役員 CISO の @kani_b です。8月、 LayerX では AI エージェント祭と題した社内ハッカソンを開催しました。今回は、その背景や内容についてご紹介します。
仕事始まりの月曜日、「金曜日までに AI エージェントをつくってデモしてくれ」と言われたら、みなさんはどう思いますか?私はそれなりに慌てます。AI エージェントがどのようなものかはぼんやりと理解しているけど、ソフトウェア開発の視点から見たときに「何をすれば AI エージェントになるのか」をきちんと理解していないので、いざ「つくる」となったときに、先行きが見えにくいのです。
LayerX は行動指針の一つとして「Bet AI」を掲げ、 AI を中心として様々なことに取り組んでおり、このブログや Bet AI Day をはじめとする各種イベントでも事例についてご紹介しています。「数千・数万の AI エージェントと人が共に働く未来」を見据えたプロダクト開発を全力で進めているところです。一方、現状であらゆるエンジニアが AI エージェント開発に深く関わり理解しているかといえば、 AI エージェントを直接開発する役割を持つエンジニアと、私達が作り上げてきたプロダクトを磨き上げていくエンジニアの間において、理解度にはグラデーションがある状態でした。 会社が次のフェーズに突入していく今、議論や開発をさらに加速するために、今このタイミングで「AI エージェントを開発するとはどういうことか」を、私を含めた全てのエンジニアが改めて直接理解しておくことが重要であると考え、その方法としてハッカソン (祭) を実施することにしました。
開催を決めたので、マッハで日程を決めて、GPT-5 と対話しながらお知らせ画像を作ることにしました。「西暦2500年の日本っぽいイメージで」と指定したところ画像に記載した開催日時までもが2500年になりましたが、そのままにしておくことにしました。

開催にあたってはバクラク事業部に所属する全エンジニア、AI・LLM 事業や Fintech 事業からも一部エンジニアが参加し、総勢70名ほどになりました。LayerX オフィスには大きめのセミナースペースがあり、そちらに全員が集まってワイワイできるので、個人的にとても好きな空間です。

ハッカソンの実施にあたって、どのような切り口で内容を組み立てるかはとても重要です。かなり迷いましたが、 Amazon Bedrock AgentCore の Preview 発表を見て、Bedrock AgentCore の要素を取り入れることにしました。バクラクは主に AWS 上で開発運用されており、我々にとって慣れた基盤であることに加え、 Bedrock AgentCore はそれまでの AI エージェント開発に関する議論をうまく取り込み、抽象化したマネージドサービスであり、エージェント開発を進めるうえで適切な高速道路になりうると考えたためです。
AWS Japan の皆様にご協力をお願いし、学習環境の提供に加え座学・ハンズオン形式の講義、トラブルシューティングなどのサポートをいただきました。座学の内容については、AI エージェントに必要な要素、 Web アプリケーション開発との違いなど、これまでの議論についておさらいをしながら、PoC 開発、本番適用など実践的な内容をご説明いただき、それらをハンズオン形式で学ぶ形としました。具体的な内容をチラ見せ!とても豪華な内容でした。

ハンズオンは、 https://github.com/awslabs/amazon-bedrock-agentcore-samples をベースとして作成されたチュートリアルのような形で実施しています。これを通して、 AWS が開発している AI エージェントフレームワークである Strands Agents を利用したエージェント開発、および開発したエージェントを Bedrock AgentCore にデプロイする一連の流れを全員が体験しました。私も Mastra による開発経験はあれど Strands Agents を利用するのは初めてでしたが、tool 開発や外部プロダクト、 AWS との連携など、かなり多くのことがビルトインで簡単にできるように作られており、かなりオススメできます。
ハンズオンを午後の早い段階で終わらせて、残りの時間は全て社内ハッカソンに使う形としました。3名ずつのチームに参加者を分割して実装のためのアイデア出しを行い、そこから先は個人で実装を進めていきます。フルリモートで参加するメンバーもいたため、オンラインも可とし、オフィス出社組も各々作業がしやすい場所で議論しながら進めていました。


テーマは業務に関係する/しないに関わらず自由とし、Slack, Notion, Snowflake など社内ツールへのアクセスも可としました。下準備として、やや準備が煩雑になりそうであった Snowflake へのクエリを行う tool のみはサンプルとして事前に開発しておき、参加者に提供しました。
ハッカソン終了後、開発成果の発表と表彰を行いました。成果発表は希望制で、10人くらい発表してくれたら嬉しいな…と思っていたのですが、蓋を開けると予想を遥かに超える35人以上の方に成果発表をいただきました。自由な開発を行う時間は4時間程度であったにも関わらず、完成度が高かったり、ユニークな発表が多かったのが非常に印象的でした。
表彰では、 AWS 様よりノベルティを賞品とさせていただいただけでなく、 先日発売された AWS生成AIアプリ構築実践ガイドを受賞者にお渡ししました。個人的な感想ですが、 AWS に馴染みがあれば、LLM を利用したアプリケーション開発について高速でキャッチアップできる良い本だと思います。
なお、私が選んだ賞については、たくさんのエージェントをつくるぞ!!!ということで映画マトリックスの Blu-ray をプレゼントすることにしました。
おわりに
先日 LayerX オフィスにて実施した、 AI エージェント祭についてご紹介させていただきました。短時間で本番展開までを見据えた AI エージェント開発についてキャッチアップでき、非常に有意義なイベントとなりました。 全社のエンジニアを巻き込んだハッカソンなどは、会社規模などにもよりますがそれなりに大きな投資となります。そのため、ハッカソンを通して得たいものや内容の設計など、事前の準備が欠かせません。今回は AWS Japan 様に非常に多大なご協力をいただき、非常に素晴らしい内容のワークショップを提供いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
「祭」という単語が先行しすぎて今回のハッカソンではあまり流行らなかったのですが、 “BetFest” という名前もつけました。頻繁にやるわけではありませんが、このように「全員で一気に取り組むことに価値がある」と思えることを、祭のような勢いと熱量をもって進める会にしていこうと考えています。
さて、「では実際みんなどういうものを作ったのか?」という部分が気になる方も多いと思います。本日、 AI Agent ブログリレーのお知らせ をさせていただきました。 今日から1ヶ月間、当日だけでなくその後の議論も反映した、それぞれの AI エージェント開発についてご紹介していきますので、そちらもぜひお楽しみに。
それでは!!!