LayerX エンジニアブログ

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プロセスがプロダクト。エンジニアがカスタマーサクセスをやる意義

はじめまして。LayerX インボイスに携わっているエンジニアの花村(@naomasabit)です。

本職はエンジニアなのですが、簿記資格を持っており、監査法人でエンジニアとして財務分析や暗号資産監査業務に携わった経験があるため会計知識もある程度持ち合わせています。

そのバックグラウンドもあり、開発の傍ら経理のユーザーと接するカスタマーサクセスにも携わっています。今回はエンジニアがカスタマーサクセスをやる意義について書いていきます。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスは継続的営業プロセスとも言われます。売り切り型のサービスと異なり、期間に応じて売上が上がるサブスクリプション型の購入形態だと解約されないように継続的にユーザーの満足度を高める必要があります。

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こちらは社内の勉強会で利用したスライドですが、カスタマーサクセスの目的は大きく

  • 解約防止
  • 追加受注
  • 紹介案件作り
  • (プロダクトへの)フィードバックループ

の4つに分類されます。

特に解約はSaaSとしての売上に直結してしまうため、一番上の「解約防止」について重要度の高い目標に設定しています。

しかし、初期のスタートアップの少ない人員で、日に日に増えていく利用企業に対して満足度を常に見ていくことはなかなか難しいところです。今回はLayerX インボイスが工夫している一端をご紹介します。

テクノロジーでレバレッジをかける

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カスタマーサクセスを効率的に行うためにAWSのQuickSightというツールを導入し、ユーザー各社の月間利用状況を把握しています。画像に出しているのは各社ごとの月間請求書処理枚数です。元々ヒアリングで聞いていた請求書枚数に対して実際に処理した割合の値を計算し、LayerX インボイスで処理した割合が少ない多いがわかるように色で表しています。

他にもいくつかの観点でユーザー各社の利用状況をモニタリングしており、あまり活用されていないユーザーについてはアプローチして業務活用の支援をさせていただいています。サービスではユーザーが満足していない場合、問い合わせがあるとは限らず、カスタマーサクセスは不満足の兆候を能動的に検知し、ユーザーがサービスを使いこなせるようにサポートする必要があります。

SaaSの運用ではヘルススコアと呼ばれるユーザーの活用状況を点数にする概念があります。LayerX インボイスでもユーザーの活用データを分析しながらこのヘルススコアの分析・設計を行っています。

このようにエンジニアがカスタマーサクセスに入ることで、ダッシュボード設計やデータの分析を利用してテクノロジーでチームを強化することができます。

爆速でフィードバックを受けて改善する

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先ほど述べたカスタマーサクセスの目的の一つにフィードバックループを回す、というものがありました。エンジニアがカスタマーサクセスを行うことで直接フィードバックを受けることができます。

初期のプロダクトはスピードが命です。特に、不確実な環境の中で何を作るべきかを判断するためには、作る人間がユーザーの前に立つことが最速の道だと思います。ユーザーの声を聞いて足りない機能を洗い出し、そのまま実装して再度ユーザーの声を聞きにいくことで素早いフィードバックループが回せます。

SaaSの難しくも面白いところですが、多くのユーザーに利用してもらえるように機能を開発しつつ、特定のユーザーのためだけの仕様にならないように汎用化していくバランスが求められます。そのような仕様を定義していくためには複数のユーザーの要望を聞いて、なるべく多くのユーザーに満足してもらえるような仕様の落とし所を考える必要があります。

特に、ユーザーの業種や業態、規模によって業務の進め方も要望も異なるため、様々なユーザーの声を聞いて業務を知り、ユーザーの背景を深く理解することを開発の上で重視しています。

このようにエンジニアがカスタマーサクセスを行うことで素早いプロダクトのフィードバックを受けることができます。スタートアップの世界には「スケールしないことをしよう」という格言があります。初期プロダクトは徹底的にユーザーの声を聞いてスケールしないことをした結果、大きなスケール成長の種が得られるという話です。

久々に格言の出てくる文章を読み返したらエンジニア向けにとても良いことが書いてあったので、引用しておきます。

皮肉にも、技術者は昔から世話をすることを嫌うという伝統があります。しかし、その伝統は、時代遅れです。技術者がシステム全体を動かすのではなく、ただひたすら作ったものの狭い領域を預かるだけが仕事だった時代ではなくなっています

ポール・グレアムによる「スケールしないことをしよう」前編 | POSTD より

プロセスがプロダクト

ここまで、エンジニアがカスタマーサクセスに関わることのメリットについて

  • テクノロジーでチームにレバレッジをかけられること
  • フィードバックを爆速で受けて改善できること

を書きました。開発内容がプロダクトと考えられがちですが、B2BSaaSの提供において、カスタマーサクセス含めたプロセスがプロダクトだと感じてきています。

LayerX インボイスのユーザーが求めているものが支払業務の効率化である以上、便利なプロダクトに加えて、問い合わせに的確に返答する体制、フィードバックをいただいてからの改善速度、プロダクトの活用方法の案内など含めたプロセスそれ全てがプロダクトと考えた方がしっくりきます。

今回はカスタマーサクセスとエンジニアについてのトピックを記事にしました。LayerX インボイスチームではこの初期フェーズだからこそ役割に縛られずエンジニアが幅広く活躍できる環境が整っています。少しでも興味がありましたら、一度お話を聞きに来てください。

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