こんにちは。バクラク申請・経費精算チームでエンジニアリングマネージャーをしているsh_komineです。
この記事はLayerXテックアドカレ2023の24日目の記事です、前回は 平田(@TrsNium)さんが「LayerXにデータエンジニアとして入社しました!」を書いてくれました。 本日の記事では、チームマネジメントのトピックとして相互理解の重要性についての説明や相互理解を促進するワークショップのご紹介をしていこうと思います。
相互理解はなぜ必要なのか?
かくいう自分も、新卒研修のグループワークでチームメンバーの熱量がうまく合わなかったときに、担当人事から「相互理解は大事だよ。」というフィードバックをもらったのですが、その時はあんまりピンと来ていませんでした。
では、なぜチームメンバーの相互理解が大事なのでしょうか? 結論から言うと、チームが高い成果を出すために相互理解が必要です。 どういうことか順を追って話していきます。
チームが高い成果を出すために重要なこと
チームで高い成果を出すためには、 1. チームメンバーが同じ方向を向きつつ、2. 多様性を持ちながら、お互いの意見をぶつけ、積み上げながら仕事をする ことが重要です。
1. チームメンバーが同じ方向を向いて仕事をする
LayerXでは、根源的なカルチャーを言語化した行動指針・羅針盤をつくり、共有することで、根源的な価値観を揃え、全員が同じ方向を向いて仕事できるようにしています。そしてこの羅針盤はフィードバックなどにも積極的に使うことで、日頃のコミュニケーションでも良く口に出るくらい浸透しています。*1
また、Google re:Workの イノベーションが生まれる職場環境をつくる の中でもビジョンの共有 という言葉で、同じ方向を向いて働くことの重要性について言及されています。
ビジョンを共有すると、目標と優先順位を整理し合意することができます。 変化や新たなアイデアを自分の仕事に対する脅威と捉え、拒む人はどこにでもいます。 特に、それらが生まれた背景を知らされていなければその抵抗も激しくなります。 そうした抵抗を取り払い、チーム全体が受け入れている目標に専念できるように働きかけるのがビジョン共有です。
2. 多様性を持ちながら、お互いの意見をぶつけ、積み上げながら仕事をする
LayerXでは、行動指針の一つとして、Trustful Team を掲げており、お互いの事を信頼して意見をぶつけることを大事にしています。
Trustful Team: 各自がプロフェッショナルとして、時にはシビアな判断も含め、実行するチームを目指す。 そのためにもお互いを信頼し、透明性のあるコミュニケーションを徹底しよう。
行動指針をより具体化した羅針盤にも「20%口出しルール」や「全体最適を諦めない。常に横を見る」といった項目を用意し、多様性を持ちながら、お互いの意見をぶつけ、積み上げながら仕事をする 事を推奨しています。過去の羅針盤に含まれていた、「トラストフルフィードバック」という言葉も社内では浸透しています。
また繰り返しになりますが、 Google re:Workの イノベーションが生まれる職場環境をつくる の中でも、多様性のあるメンバーが協力することで、優れた成果につながるということが、研究結果からわかったことが示されています。
組織のイノベーション力は、社会的つながり(特に分野を超えたつながり)とも関連性があります。 研究の結果、 多様な考え方のメンバーが集まったグループは、同じ考え方を持つメンバーからなるグループをしのぐ成果を出していることがわかりました。 これは、全体的なパフォーマンスはもちろん、複雑な問題を解決する際に顕著に表れます。
お互いを信頼して「トラストフルフィードバック」する難しさ
こういった行動指針や羅針盤があるから「トラストフルフィードバック」できるぞ!と思ったんですが、このトラストフルフィードバックはなかなか難しいです、、、。
特によく知らない人、お仕事だけでちょっと関わった方への「トラストフルフィードバック」は、相手が何を考えているのか、相手が何を大事にしているのかなどがわからないので、リスペクトの心を持っていても、不意に傷つけてしまったり、意図と違う捉えられ方をしてしまったり、、、などといった、すれ違いが起きるのが起きる怖さがあり、フィードバックする側は踏み込めないし、フィードバック受け取る側も素直に受け取れなかったりします。 目指している方向が同じはずなのに、、、なかなか難しい。
「別にフィードバックなんてしないから大丈夫!」と思う人もいるかもしれませんが、フィードバックをしていない状態でも、一緒に働く中で「なんでこういう動きをしてくれないんだ!?」「なんでこんなこともわからないんだ!?」など、そうしたすれ違いは積み重なり、よりひどいことになることも起こると思うのでおすすめしません。そもそも相互フォードバックがなければ、お互いを高められないし、イノベーションも起きづらいと思いますが、、、。
では、どうやって「トラストフルフィードバック」をしてお互いを高め合えるのか?
個人的には、
トラストフルフィードバックの前に、「お互いの人となりを知ること」 = 相互理解 それに尽きると思います。
各々の考えている優先順位、絶対に譲れない価値観、仕事とプライベートの割合、どうしても苦手な事、これらは人によってそれぞれですし、それが多様性です。会社のカルチャーといった根幹の部分の外の範囲において自由です。*2
その人の考え方のベースを事前に知っていれば、個々の行動やフィードバックに、その人なりのロジックが見えてきます。
その人なりのロジックが見えてくると、理解はできるので受け取れます。そして、自分との考え方の違い、見えている範囲の違いなどもちょっとずつ見えてきます。目指している方向が同じ前提なら、、、あとはなんとか乗り越えられる気がしてきませんか?
個人的には、あとは論点を洗い出して、擦り合わせていくことができると思っています。
なので、前提として相互理解をすることはとても大事です。
もう少し論理的な裏付けとして、先ほども引用したGoogle re:Work の 「効果的なチームとは何か」を知る の中でも
真に重要なのは「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」
と言及されており、チームの効果性に影響する因子の一番重要な因子として、心理的安全性を挙げています。
心理的安全性: 心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味します。心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていません。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地があります。
この中の 「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうか という点が特に重要で、そのためにはお互いの人となりを知ること = 相互理解 が重要となってきます。*3
相互理解を促進するワークショップ
では具体的に、「相互理解を深めるにはどうしたらいいのか?」という問いに対して、自分がチームビルディングの一環としてやってとても良かったと思ったのが、相互理解ワークショップです。 弊社のBizチームが実践していた内容を多少アレンジして今の形になりました。
内容としては、以下のようなフォーマットを用意し、事前準備した上で、一人5~10minほどで、お互いに自己開示していきます。 時間は参加するメンバーの人数やチーム規模に合わせて調整してください。
- テンション上がること(仕事をする際にあると嬉しい情報) - 具体的な内容を記載 - 苦手なこと、嫌いなこと - 具体的な内容を記載 - 仕事の基本スタンス、大切にする価値観 - 具体的な内容を記載 - スキルセット概要 - 具体的な内容を記載 - (ぶっちゃけ一緒に仕事する上でしっておいてほしい私のこと) - 具体的な内容を記載 - [16personalities](https://www.16personalities.com/ja) or エニアグラム or ストレングスファインダー or [ポケモン自己分析](https://recruit.pokemon.co.jp/pokemoncenter/special/) - 16personalitiesは無料でできるので、入力お願いします。
ちょっと具体的なイメージを膨らませるために、自分が書いた一部をお見せします。
なんとなく雰囲気が伝わったでしょうか?
なかなか赤裸々です。
特に、(ぶっちゃけ一緒に仕事する上でしっておいてほしい私のこと) の項目では、自分が本当に苦手な部分・弱みの部分、捉えられ方によってはネガティブに映ってしまう部分をチームに開示して、共有しています。
16personalities などの性格診断も有効で、その人の傾向もイメージできるようになっています。今は無料のものも多いので、うまく取り入れると効果的です。
このワークショップをやってみてわかったのは、どれだけカルチャーマッチしている人が揃っていても、人はやっぱり十人十色であるということ。 皆のモチベーションの源泉が全然違うことに気づいて、人それぞれの違いを強く感じました。
参加メンバーからも、「お互いのことが知れて、働きやすくなった。」と評判が良かったです。 まさしく、心理的安全性を担保する 「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と思えるようにするための自己開示になったのだと思います。
このワークショップをやる上で一個注意点はあって、必ず、お互いをリスペクトして、違いを受け入れる心を持ってください。 やっぱり受け入れられないと、悲しいし、それ以上心を開けなくなります。 スクショでは黄色くなっている箇所がありますが、チームメンバーがコメントしてくれていて、同意だったり、茶々を入れたりしながら和気藹々と行っています。
まあまあ時間のかかるイベントなので、同期的にみんなで行うのは半年~1年に一回ほどですが、新しいメンバーが入社した際には、このドキュメントを使ってチームのメンバーを紹介しますし、新しいメンバーにも書いてもらって、話していただいています。
今後も継続的に行っていくつもりです。
ぜひ皆様のチームでも試していただき、良かった点、悪かった点など感想が聞けると嬉しいです。
余談1
相互理解の話題になると、「飲みニケーションでカバーしてる。」という話も度々出てくる話だと思います。 自分は飲むのも好きだし、飲みニケーションも好きです。が、飲みの場での自己開示では、自己開示がチーム全体にはなかなか開示が行き届かないし、ドキュメントにも残らないし、アルコールを摂取した時のメンタル面の変化もあり(酔っ払って忘れたり、気が大きくなって主語が大きくなったり、感情的になったり、リスペクトがブレちゃったり…)、個人的には会社の会議室などで、相互理解ワークショップをやった方がいいと思ってます。
余談2
同じチームのプロダクトマネージャーのmaroさんも「顧客解像度とはよく言うが、仲間解像度も同様に大切だなと感じた話、あるいは「お茶会」について」という題で仲間の解像度の高さについての記事を書いてました。以心伝心ですね。この記事が出る前にプロットはできていたので、決してパクってはないです。笑
最後に
弊社では全ポジションで求人募集中です!
やりたいことが多すぎて、プロダクトエンジニアもエンジニアリングマネージャーもプロダクトマネージャーもデザイナーもQAもセールスも、、、全方位で全然人が足りません!
ちょっとでも気になる方は、マネジメントの話に限らず、開発の話などなど、ぜひ一度お話ししましょう!!
そして、いくつか直近のイベントのお知らせです!
2023/12/15のEMゆるミートアップというイベントでお話しさせていただく予定です。
テーマが「EMとはなんなのか」、、、あれ、全然ゆるそうじゃない。
オフラインは満員御礼のようなのですが、オンラインはまだ枠ありそうなので、気になる方はぜひ!
そして、最近LayerXではCasual Nightというイベントを定期的にやっております。
私自身はお酒系のイベントによく出没しておりますので、気軽にお話しできると嬉しいです!
お待ちしております!!
*1:マネージャーによる、行動指針・羅針盤の活用については、1年ほど前に書いた記事があるので、そちらをご覧ください
*2:わざわざ「会社のカルチャーといった根幹の部分の外の範囲において」と書いたのは、会社のカルチャーなどは入社時に同意しているはずですし、それが企業の強みになる部分なので、人権や法律を侵害しない範囲で尊重される部分だと考えるからです。
*3:心理的安全性を向上させるアクションとして、記事内では、「個人的な仕事の進め方の好みをチームメンバーに伝え、チームメンバーにも自分自身の好みをチーム内に共有するよう促す。」という書き方がされています。詳しくは記事をご覧ください