こんにちは、LayerXでインフラを担当している高江です。
今回は、ちょうど今週に開催されていたAWS Summit Online 2021に登壇させていただいた内容と、その事前イベント的な位置付けで先月の27日に行われたAWS Startup Communityのイベントでお話させていただいた内容について、要点をまとめてお伝えできればと思います。
AWS Startup Tech Meetup Online #4
まずは先月末にこちらのイベントに登壇させていただきました。
aws-startup-community.connpass.com
ここでは、LayerX インボイスのインフラを開発する上で、開発初期のコンセプト段階から正式リリースまでの間にどのような方針に基づいてどのように設計・開発したかをご紹介しました。
コンセプト段階では 開発 → ユーザーテスト → 学習 → 開発 のイテレーションを素早く回すことが重要で、その過程で作っては壊しを繰り返すため、とにかくシンプルに保つことを意識しました。
ここでお伝えしたかったポイントは以下です。
- 機能不足やUI/UXが貧弱だと思っていたとしても我慢する。作り込みすぎない
- いろいろ試して学びを得ることが最優先
- 作るべきものがどんどん変わっていくので、作り込んでも無駄になる可能性が高い
- 開発・運用コストを積極的に下げる
- AWSのマネージドサービスや各種SaaSを活用して本質ではない部分(ノンコア領域)にコストをかけない
- 時間をお金で買ってコア領域の開発に注力する
- 開発したソフトウェアは資産としてストックする
- 開発が進むほどその資産を流用することでレバレッジを効かせることができる
- 「結果的にたまたま流用できた」ではなく「意図的に流用しやすくする」ためにプロジェクトとして『型』を持つ
- ここでいう『型』とは、プロジェクトテンプレートやボイラープレートと呼ばれるようなもの
とにかく時間をうまく節約してコア領域の開発に集中することが一貫した方針となっています。 具体的なインフラ構成の変遷についてはイベントでご説明しておりますので、詳しい内容にご興味のある方はぜひイベントの様子や当日の資料をご覧ください。
AWS Summit Online 2021 事例セッション
続いて、5/11-12に開催されたこちらのイベントにも登壇させていただきました。(視聴には登録が必要)
summits-japan.virtual.awsevents.com
資料はこちらです。
こちらのセッションでは、正式リリースから約2ヶ月後の収録時点におけるインフラ構成について、CI/CDパイプラインやAWSマルチアカウント運用などについても取り上げてご紹介いたしました。
マネージドサービスやSaaSを活用したり、技術選定など開発チームが最高のパフォーマンスを発揮できるための意思決定をするといった点は、前述のTech Meetupでお話した時間を重視するというところにつながりますが、加えてこのセッションでお伝えしたかったポイントは以下です。
- セキュリティは初期段階から手を抜かずにきっちり設計・実装する
- 後付けでセキュリティ対策しようとすると、アーキテクチャーやデプロイパイプラインなどに大幅な変更が発生する可能性が高い
- せっかく学びを得てPMFを達成してアクセルを踏む段階に辿り着けても、本番運用に入るために停滞してしまうのは非常にもったいない
- 極端な話「明日本番リリース」と言われても対応できるように日頃から準備しておく
一通りの過程を経て感じるのは、やはりセキュリティは最初から対応しておいてよかったということです。
仮にアプリ開発だけに集中してセキュリティは特にケアしなかった場合を想像すると、今と同じレベルの構成にするために1ヶ月程度は追加でかかっただろうなと思います。
PMFに近づくほど、試用してくださっているユーザー様の期待値も上がるので、「今すぐ使いたい」と言ってくださる声に対してタイムリーに応えられるかどうかはスピードが命のスタートアップにとって非常に重要です。
そのためにも、最初から本番運用を想定してセキュリティ対策をするというのは欠かせないポイントになります。
まとめ
まとめのまとめみたいになりますが、一連のイベント登壇を通してお伝えしたかったことは以下です。
- 時間は最も貴重なリソース。他社にお任せできるところはお任せして、自分たちはやるべきことに集中
- 学びを得るのが最優先。色々手を入れたくなる気持ちはよく分かりますがぐっと我慢してシンプルに
- セキュリティは最初から手を抜かない。後から付け足すのは最初から組み込むより何倍もコストがかかる
最後になってしまいましたが、このような機会を与えてくださったAWS様やコミュニティの皆様に改めて感謝申し上げます。
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