機械学習エンジニアの伊藤(@sbrf248)です。この記事は、2025年3月10日(月)〜 2025年3月14日(金)に開催された言語処理学会第31回年次大会(NLP2025)の参加レポートとなります。
LayerXとしては、昨年に引き続きプラチナスポンサーとして協賛させていただきました。
昨年と同様にオフラインとオンラインのハイブリットでの開催となり、オフラインはJR長崎駅西口直結の「出島メッセ長崎」が会場となりました。
スポンサー展示
スポンサー展示では、学生や企業の方など多くの方にお立ち寄りいただきました。ありがとうございます。LayerXからはバクラク事業部、AI・LLM事業部に在籍するエンジニアが参加し、LayerXが目指す「業務の完全自動運転」で日頃の働き方がどのように変わっていくのか、そこに向けた具体的な取り組み内容など、幅広くお話しさせていただきました。
「業務の完全自動運転」についてはこちらの資料もぜひご覧ください。
また、LayerXのインターンや新卒採用についてもご案内をさせていただきました。
今後のインターンシップ・新卒採用に関する最新情報を受け取れるフォームもご用意しています。お気軽にご応募ください!
懇親会
大会中は、現地参加された学生の方とのランチ懇親会、幅広く参加者を募ったディナー懇親会も開催いたしました。
ランチ懇親会は現役のLayerXメンバーと以下のようなトピックについてカジュアルに話せる場を設け、連日多くの学生さんにご参加いただきました。
- 実際、スタートアップってどうですか?
- 普段の業務内容は?
- 何をやっている会社ですか?
- LayerXに転職した理由は?
- インターンシップって何やるんですか?
- 今後の成長性は?
ディナー懇親会も20名近くの方に参加いただき、大盛況となりました。いくつかのテーブルに分かれた座談会形式で、私のテーブルでは学生・社会人の両方に参加いただき、企業ごとの働き方の違いといった話題から、人間の意識はどこから生まれるのかといったディープな話題まで、様々なトピックについてお話しできました。
大会3日目には、公式懇親会も開催いただきました。長崎港沿いの素晴らしい立地で、普段なかなかお話しできない研究室・企業の方々と交流を深める機会となりました。ありがとうございました。
一般発表
大会内で発表された研究から、個人的に面白かったものをピックアップして紹介します。
言語モデルから人間の言語獲得や処理の仕方に関する示唆を得ようとしたときに、どのような条件が満たされれば何らかの示唆を引き出せるのかを、科学哲学の「多重実現」という概念を元に論じています。論文としては、人間と言語モデルとで同じ言語的ふるまいが観測された時に、それらが単なる個体差にすぎないのか、それ以上のものであるのかに注意を払う必要がある、という形で締めくくられています。
私自身は哲学への造詣が深いわけではないのですが、暗に認めてしまいがちな前提を改めて論じて問題提起していることが面白いと感じると同時に、このようなすでに研究対象として扱われているテーマ自体を別の視点から論じる論文が発表されるNLPの懐の深さも感じ、興味深かったです。
製造業の現場で発生した技術的な問題や不具合の解決にあたり、過去の類似事例の検索を効率化するための検索システムを提案しています。
事例検索を単なるリランキングだけで解くのではなく、システム・ユーザー間のやり取りの中で目的の事例を絞り込んでいく「スロットフィリング」を組み合わせ、問い合わせに対応できるシステムとして構築していくのが面白いと感じました。LayerXが提供しているバクラクやAI・LLM事業部のAi Workforceでも特定ドメインに固有の文書を数多く扱っており、類似の文書をどのように探し出すかを考える際に参考になる研究だと思いました。
[P6-25J] 未知の知識に対するに対する事前学習済み言語モデルが持つ推論能力の調査
こちらは昨年大会の論文賞を受賞された研究で、言語モデルが何らかの直接的な知識を持っていない場合、すでに持っている知識からの推論能力があるかどうか、を検証しています。例えば、「NLP2025の開催地は長崎」「長崎はカステラが有名」「カステラはお土産」という知識だけを持っているときに、「NLP2025のおすすめのお土産」に「カステラ」を答えられるか、といった状況を考えています。
このようなそもそも評価が難しいテーマについて、知識グラフ補完の問題を考え、グラフの構造を保ったままエンティティを書き換えることで検証を行っている点、事前学習によって推論能力の獲得が見られるものの、逆に知識があることで新しい関係の学習を妨げる場合もある点が面白く、普段活用している言語モデルへの理解が深まりました。
さいごに
個人的にはNLPの参加は初めてでしたが、ディープな議論がありつつも、NLPへの馴染みが少ない人にも参加しやすい開かれたコミュニティとなっているのが印象的でした。
LayerXとしても、懇親会やスポンサーブースでは多くの方と直接お話しすることができ、非常に有意義な学会参加となりました。 学会の運営に携わってくださった方々に感謝いたします。
来年も開催されるNLPの益々の発展に、LayerXも引き続き貢献できればと思います。
再掲となりますが、LayerXではインターンシップ募集や新卒採用の受付を積極的にしております。
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