LayerX エンジニアブログ

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AI Coding Meetup #1 を開催しました #aicoding

こんにちは!すべての経済活動を、デジタル化したい @serima です。

4月8日(月)に、記念すべき第1回目となる「AI Coding Meetup」をオフライン/オンラインのハイブリッド形式で開催しました!

AIコーディングツールを組織やチームで活用しているエンジニアの皆さんと濃密な時間を過ごすことができ、企画者としても大変嬉しいイベントとなりました。

今回は、本イベントの企画の意図やウラ側にフォーカスを当てながら、イベントレポートも兼ねて書き留めておきたいと思います。

layerx.connpass.com

🏄‍♂️ イベント開催にいたるまで

2025年初頭、GitHub CopilotやCursor、そして話題のDevinなど、AIコーディングツールが次々と登場し、個人レベルでの活用はもはや当たり前になりつつある、と感じていました。

しかし、「それをチームや組織にどう適用していくか?」という点では、依然として手探り状態が続いているのではないでしょうか。成功事例も失敗談も、もっとオープンに共有されることで、業界全体が一歩も二歩も前に進むはずだ、と。

そんな問題意識を抱えていた頃、具体的な気づきを得るきっかけとなったのが、バクラク事業部で週次で開催されているエンジニア共有会でした。

特に、まだAIコーディングツールのチーム活用が模索段階だった2025年1月上旬の共有会で挙がった「そぼぎ(素朴な疑問)」が、新たな気づきを与えてくれました。

2025年1月上旬に開催されたエンジニア共有会

着想を得た瞬間

この「そぼぎ」は、社内エンジニア間でのナレッジ格差と、それがもたらす生産性への影響について深く考える機会となりました。「このギャップを埋めるにはどうすれば…」と考えていた矢先のことです。

社内で開催された「新年エンジニアLT会」で、AI活用に関するリアルなナレッジ共有が行われ、大きな反響を呼びました。

この体験が強く背中を押し、「この熱量と学びを、社外のエンジニアとも共有できる場を作りたい!」と考え、イベント企画へと動き出すことになりました。

また、LayerXが4月1日に発表した新たな行動指針「Bet AI」。「AIをフル活用し、AIの社会実装を加速するぞ!」という全社的なコミットメントが示されました。結果的にではありますが、イベント開催の追い風になりました。

(詳細はこちら:LayerX、行動指針を「Bet AI」にアップデート。AIをフル活用し、AIの社会実装を加速

こうした背景が重なり、「AIコーディングを組織で導入し、チーム開発に組み込もうと試行錯誤しているエンジニアの実践知を共有し、次の一歩に繋げる場を作りたい!」という想いを持って、今回のイベントを企画・開催するに至りました。

✍️ 実践知を語れる登壇者たち

今回のイベントでは、「AIコーディングを組織で導入し、チーム開発に組み込む」というテーマに対し、様々な角度から実践的な取り組みをされている方々にお集まりいただきたいと考えました。

開発組織をリードするCTOならではの視点、現場でツールやプロセスを日々改善していくエンジニアの視点、Devinのような新しいパラダイムにいち早く挑戦する視点、そしてAIがコードをより深く理解するための基盤作りに取り組む視点。

こうした多様な立場からのリアルな知見が交わることで、参加者の皆さんがそれぞれの状況に近いヒントや刺激を得られる場になることを期待し、以下の皆様にご登壇をお願いしました。(ご快諾いただき本当にありがとうございました!)

🧑‍💻 Teramoto Daiki (@teramotodaiki) / 株式会社Helpfeel プロダクトエンジニア

HelpfeelのTeramotoさんからは、「Devin時代の開発組織」という刺激的なタイトルで、早くもDevinをチーム開発に取り入れようとする中での具体的な工夫や、そこから見えてきたエンジニアの役割変化への示唆が共有されました。(スライドは現時点で非公開)

🧑‍💻 Yuku Kotani (@yukukotani) / Ubie株式会社 VP of Technology

UbieのKotaniさんからは、「Enabling Coding Agent - 生成AI時代に理想のコードベース」というテーマで、AIが価値を発揮しやすいコードベースや開発プロセスをいかに設計していくか、というインサイトが共有されました。

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🧑‍💻 Yoshiki Nakagawa (@yyoshiki41) / 株式会社LayerX バクラク事業 CTO

LayerXからはバクラク事業 CTOの中川が登壇。「MCP Documentation Server」と題し、AIエージェントがコードベースを理解するためのプロトコル「MCP」の現在地、MastraにおけるMCP Documentation Serverの事例、MCP Tool提供のメリットについて話しました。

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🧑‍💻 kagaya (@ry0_kaga) / 株式会社ログラス ソフトウェアエンジニア

ログラスのkagayaさんからは、「AIコーディングワークフローへの挑戦」と題し、仕様ドキュメント更新の自動化などを例にそのワークフローをいかに構築するべきか?など、未来の開発スタイルを模索する試行錯誤の過程が共有されました。

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🧑‍💻 zawakin (@zawawahoge) / 株式会社ナレッジワーク AIエンジニア

ナレッジワークのzawakinさんからは、「"知のインストール"戦略:テキスト資産をAIの文脈理解に活かす」と題し、社内に蓄積されたドキュメント資産をAIのコンテキストとして効果的に活用するための具体的な戦略について発表いただきました。

speakerdeck.com


当日の熱気あふれる発表の様子は、アーカイブ動画でもご覧いただけます。ぜひご覧ください!

www.youtube.com


各社の具体的なツール選定の背景、導入プロセスでの工夫、それによる開発フローの変化、そしてもちろん、実践の中で直面している課題や「思ったのと違う…」といったリアルな声まで、非常に示唆に富んだお話ばかりでした。

参加者アンケートでも、

  • 言語化できてない、コンテキストのまとめ方を知れて勉強になった
  • 悩んでいた、開発のためのコンテクストの伝え方について多角的に知ることができた。みんな悩んでるのが感じられた。
  • AIをチームの一員や知の構造化など、自分が今なんだかカタチにならない思考が言語化されてて面白かった
  • DevOpsのなかでAIに残された余地がまだまだあることが分かり、コーディング以外の部分への適用を試みたいと思った

といったコメントが多く寄せられ、登壇者の皆さんの実践知が、参加者の皆さんの課題感とも強くマッチしていたことがうかがえます。

📝 運営目線での、ちょっとした"工夫"

今回のイベントをより良いものにするために、企画・運営面でいくつか工夫してみた点もいくつか紹介させてください。

イベントページで"予習"を促進

参加登録をするconnpassのイベントページには、各登壇者の方が最近執筆された記事へのリンクを「ピックアップ記事」として掲載しました。

事前に登壇者の皆さんの考えや最近の関心事に触れていただくことで、当日の発表内容への理解が深まり、懇親会での会話のきっかけにもなれば、と考えた試みでした。

ピックアップ記事のコーナー

懇親会での"アイスブレイク"シール!

オフラインイベントの醍醐味といえば、やはり参加者同士の交流です。

せっかくAIコーディングに興味がある方々が集まるので、「使っているエージェント」の話で自然と盛り上がってほしい。そして、懇親会で初対面の人に話しかけるハードルを少しでも下げたいと考えていました。

そんな思いから、名札に貼れる「推しAIコーディングシール」を用意しました!(簡易的で分かりづらかったですが…)

自分が使っている、あるいは気になっているツールのシールを貼ってもらうことで、「あ、〇〇使ってるんですね!」「△△って実際どうですか?」といった会話のきっかけになれば、と考えたのです。

この試みを通じ、会場のあちこちでシールをきっかけにした会話が生まれていたようで、企画者として嬉しい光景でした。

さらに驚いたのは、懇親会の真っ最中に、なんと参加者の方が「Cursorをなんて呼んでる?」を問うアンケートアプリを即席で開発してくださったことです!笑

このスピード感と遊び心、まさにAI Coding Meetupならではの出来事で、会場も盛り上がりました。(アプリを作ってくださった@chan_san_jpさん、本当にありがとうございました!)

💌 参加満足度4.68!熱量の高いフィードバックと参加レポート

イベント終了後、アンケートを実施したところ、109名もの方々から熱いフィードバックをいただきました!平均満足度は5点満点中4.68と、非常に高い評価をいただくことができました。ご回答くださった皆さん、本当にありがとうございました。

いくつか印象的だったコメントをご紹介します。

  • ノウハウが分かりやすかったです!AIを使ったリリースノート作成ツール活用で最新リソースにキャッチアップした軌跡が見え、独自知見が得られたため全部良かったです!
  • まだまだ会社で使うような活用方法が多く出回っているわけではないのでこういう機会は貴重
  • 各社のストラグルが伝わってきて熱気があった
  • 『解空間を絞る』という言語化がすばらしいなと思いました
  • Devinに任せて失敗した話がおもしろかったので、「思ったんと違う…」という失敗談をいろいろ集めた回などあったらおもしろそう!(良い企画アイデア、ありがとうございます!💪)

そして驚いたことに、イベントが終了後の翌朝には、早くも3件もの参加レポートブログが公開されていました!このスピード感、そして熱量…!本当に嬉しい限りです。

omuron.hateblo.jp

kadoppe.com

note.com

🔥 さいごに

今回の「AI Coding Meetup #1」は、まさにイベント概要に書いた通り、「実践者同士でトライアンドエラーを共有し、次の一歩につなげる場」になったのではないかと、手応えを感じています。

何より、最前線のリアルな知見を惜しみなく共有してくださった登壇者の皆さん。

そして、会場やオンラインで熱心に参加し、活発な議論や交流で場を最高に盛り上げてくださった参加者の皆さん!ありがとうございました。

LayerXは「すべての経済活動を、デジタル化する。」というミッションと、「Bet AI」の行動指針のもと、これからもAI技術の探求と社会実装を力強く推進していきます。

今後も、このような形でエンジニアコミュニティに貢献できるイベントを企画・開催していきたいと考えています。LayerXの技術情報やイベント開催については、ぜひ以下の公式アカウントやページをチェックしてください。

それでは、また次回のイベントでお会いできることを楽しみにしています。