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LayerXのAi Workforceチームのエンジニア、木曜は会議しません

こんにちは、LayerXのAi Workforce事業部 開発グループでProduct Strategyを担当しているワカマツ ケンです。

これまで米国本社のSalesforceCiscoAdobeなどで20年以上にわたりシリコンバレーでプロダクト開発に携わってきました。特にSalesforceではAI機能「Einstein」の開発に関わり、プロダクトとAIの融合に情熱を注いできました。

2016年からはSalesforce Japanに出向し、日本市場向けのプロダクト戦略を推進。Salesforce JapanのHead of Productとして、グローバル×日本ローカルの橋渡し役を務めました。

私がSalesforceで体験し、LayerXでも実践している「ノーミーティングデー」の文化を紹介します。

LLMを活用したプロダクトAi Workforce

まず、私たちが手掛けているプロダクトについて簡単に触れさせてください。私たちAI・LLM事業部では、 Ai Workforceというプロダクトを開発しています。Ai WorkforceはLLM(大規模言語モデル)を活用したワークフローエンジンであり、LLMを用いて各種ビジネスドキュメントワークを効率化、自動化することを目的としています。 契約書、提案書、発注書、決算書など、多様なビジネスドキュメントを読み込み、変換・整形・情報抽出・整理などの処理を、LLMを活用して実現しています。

本ブログでは、Ai Workforceの開発チームがミーティングのない日を設けた理由と想定される効果について書いていきます。

Salesforceで学んだ「No Interruption Thursday」

 https://www.linkedin.com/posts/andrealeszek_today-salesforce-technology-products-is-activity-6717502593284812801-YwCd

LayerXのAi Workforceチームでは木曜日は集中作業時間の日としてエンジニアと会議をしない日となっています。この文化、私がプロダクトマネージャーとしてSalesforceに入社した2011年に初めて出会ったものでした。今ではAsana、Meta、Canva、Rippleなど多くのテクノロジー企業でがこの文化を取り入れています。

この「ノーミーティングデー」の原点は、私が2011年にプロダクトマネージャー(PdM)として入社した Salesforce にあります。

入社初日に、メンターのPdMから言われたのがこの一言:

「エンジニアとは木曜日に会議しちゃダメだよ」

当時は「なんで木曜日だけ?」と驚きました。しかし、これは単なるルールではなく、集中して“考える時間”を確保するための仕組み だったのです。

なぜ木曜日が特別なのか

SalesforceではAgile開発手法を取り入れており、各チームは自律的で、アーキテクチャ設計から開発までの意思決定を自分たちで行っていました。最速の方法が最良とは限らず、プロダクトのスケーラビリティ・パフォーマンス・使いやすさ・バグの少なさが重要視されていました。こうした「考える力」や「創造性」を最大化するには、まとまった時間でじっくり考えることが必要です。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の「ノーミーティングデー」の研究

マサチューセッツ工科大学

マサチューセッツ工科大学(MIT)も以下のような研究結果を発表しています。MITが76社の大企業に最低でも週に1回の「ノーミーティングデー」を導入したことで、自律性・コミュニケーション・エンゲージメント・満足度がすべて向上し、それに伴いマイクロマネジメントとストレスが軽減された結果、生産性が向上した。

参考: https://sloanreview.mit.edu/article/the-surprising-impact-of-meeting-free-days/

木曜日に変わった自分の働き方

「ノーミーティングデー」を活用するにはプランニングが必要である。Salesforceは木曜日を「ノーミーティングデー」と決めていたので、PdMとEM(エンジニアリングマネージャー)は水曜日に金曜日までのタスクを洗い出しておく必要がある。数スプリントを経験するうちに、私は自分の仕事の進め方を調整しました。

  • 水曜までにエンジニアとの全ての打ち合わせを済ませるようにした。特に自分が書いたユーザーストーリーのタスクに曖昧な部分がないか確認をとった。
  • Salesforceのスプリントは2週間だったため、スプリントが終わる前の木曜日はエンジニアと多くコミュニケーションをとった。
  • 隔週の金曜日にスプリントプランニングがあるので、バックログの整理やバグのレビュー、仕様のブラッシュアップに集中した。
  • EMは「ノーミーティングデー」の対象から外れていたので木曜に会議を入れた。

データが証明した「木曜最強説」

ある日、Salesforce共同創業者と当時はCTOのParker Harris氏から「木曜日にエンジニアと会議をしないように」と全開発チーム向けに社内ポータルで投稿されました。誰かがルールを破ったことは明らかでしたが、それ以上に注目すべきはHarris氏が開発リーダーとして「ノーミーティングデー」の理由でした。

「データが示している。エンジニアが最も生産的かつ効率的なのは木曜日だ。」

Salesforceでは、全社的にデータドリブンな意思決定が徹底されていました。そしてデータはエンジニアが会議を行わない木曜日が最も生産性が高く、コードの品質も高いと証明していた。

  • 木曜日がコードコミット数・チェックイン数ともに最多
  • 金曜日のバグ報告数が最少(木曜のコード品質が高いためと推測)

Salesforceではこの仕組みが機能しており、エンジニアもプロダクトマネージャーも「ノーミーティングデー」に満足していた。Forbesの「最も革新的な企業ランキング」に常に選ばれている理由の一端はここにあるとさえ思います。

ベイエリアからLayerXへ

このカルチャーはSalesforceを離れたPdMやエンジニアたちによって、他社にも広まっていきました。そして今、日本でもLayerXの「ノーミーティングデー」が導入されています。まだデータは揃ってないですが、以下のようなフィードバックをいただいています。

「大きいコードなど脳の短期記憶に載せたい情報を増やした作業ができる日になったように思います。ミーティングや別のことがあると一定そこにも気を配らないといけないのがなくなりました。」

「特に早朝〜朝の時間帯には今日中のミーティングのことも念頭に100%コードや作業に向き合う頭になりにくかったのですが、それがこの時間でもできるようになったように感じます。朝は脳が元気でたくさん進むチャンスタイムでもあると思うので、ここで作業が進む。」

また、LayerXのバクラク事業部でも一部取り入れています。

もちろん、スタートアップであれば「半日だけ」など柔軟な形でもOK。曜日もチームに合わせて変えてみてください。実験してみて、効果があったらぜひ教えてくださいね(X: @productken )。

LayerXではこうした R&Dを担うチームを立ち上げ中です。もしこの記事に興味を持っていただけた方がいれば、ぜひご連絡ください。一緒にAi Workforceで未来のワークフロー自動生成を形にしていきましょう。 

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